ActivityScopeを使ってActivityクラスごとにシングルトンになるようにした話
まずはじめに。Dagger2の話をしていますが、きちんと理解しているわけではないので間違った内容があるかもしれません。鵜呑みにしないでください。
この記事で言ってることのサンプルコードはGutHubで公開しています。
この記事の要旨は「MainActivityの中でシングルトンを実現したい(した)」ということです。
私がDagger2を知ったきっかけはdroidkaigi2016です。その時からずっと腑に落ちなかったのがActivityScopeの存在です。ActivityScopeがわからないというか、子コンポーネントをわざわざ作る意義がわからなかったのです。
droidkaigi2016のコードを見よう見まねでDagger2を使ったアプリを作ったのですが、そのアプリではほぼすべての依存性をAppModuleに定義してありました。そのためAppModuleだけがやたらと肥大化し、ActivityModuleには何も定義されていないような状態で、ActivityScopeを作っている意味がまったくありませんでした。
結果そのアプリでは、Dagger2を依存性の充足のために用いるのではなく、シングルトンパターンを使うことなくアプリ内でインスタンスが1つになるようにするための道具として使っている状態でした。
私は、例えば端末の画面が回転しても、同じMainActivityであれば常に同じコントローラなりPresenterなりがセットされるようにしたいと思っていました。そうすれば非同期処理を引き継ぐためにアレコレする煩雑さから解放されます。
それを実現するために子コンポーネントを区切ってActivityScopeを作ってるんだろうと考えていたのですが、実際の挙動はそうはなりません。ActivityModuleで@ActivityScope
なんて指定したところで、画面回転したら注入されるのは異なるインスタンスです。
(これはActivityComponentをActivityのonCreate
で初期化して、Activityがそのインスタンスを保持していることに原因がありましたが、詳細は後述)
そもそもActivityのライフサイクルは非常に短命で、初心者がまず躓くポイントとして挙げられるほどに感覚値とずれたものです。画面回転しただけでインスタンスが変わる。同じMainActivityなのに。同じMainActivityが表示されてるのに、実は内部では異なるインスタンスのものなんですというのがややこしいポイントです。
私はずっとActivityScopeを使えば、同じMainActivityなら常に同じインスタンスを注入できるようになるんじゃないかなと思っていました。でもそれができない。それが私の「Dagger2よく分からん」の原因の1つでした。
そもそもDagger2でインスタンスを使いまわせるのは、スコープをアノテーションで指定しているからではありません。ApplicationModuleで@Singleton
を指定したインスタンスが常に同一であるのは、アプリ内で同じApplicationComponentを参照しているからできていることです。
ApplicationComponentはApplicationクラスを拡張した独自のクラスに保持して、そこにアクセスしていると思います。例えばこれを、(普通そんなことはしませんが)ActivityのonCreate
でApplicationComponentを生成するようにしたらどうなるでしょう。画面回転によるActivityの再生成が起こる度に@Singleton
としたインスタンスであろうが毎回異なるインスタンスが注入されることになります。つまり@Singleton
をつけてるからシングルトンになるわけではないということです。
ActivityのonCreateでApplicationComponentを生成した場合、同じActivityのインスタンス内ではシングルトンにできます。例えばそのActivityでViewPagerを使っていて、Fragmentを複数内包しているとしましょう。そのFragmentたちはActivityのもつApplicationComponent(ややこしい)にアクセスすることで、@Singleton
で指定したインスタンスを使いまわすことが出来ます。
同じActivityクラスでActivityComponentを使いまわせるようにするためには、Activityより長いライフサイクルを持つものにComponentのインスタンスを保持してもらう他ありません。
私はとりあえずApplicationクラスにActivityクラス名をキーとしたHashMapを持たせて管理させるようにしました。CustomApplication.classのソースコード
こうすることで、例えばFilterEditActivity.classでは、画面回転でActivityのインスタンスが変わろうと、常に同じActivityComponentを取得でき、FilterEditAcitivy内で常に同じPresenterが使えるようになります。
ほんとうの意味でのActivityのライフサイクルと異なるわけなので、逆にわかりづらくなっている気がしないでもありません。ActivityScopeといいながらその生存期間はApplicationと同じになってしまっています。
Fragmentを使う場合に更に混乱します。実際にサンプルのプロジェクトでは、Activity+ViewPager+Fragmentを使う部分でややこしいことになっています。
Activityの場合はActivityクラスで識別すればいいのですが、ViewPager内のFragmentはクラス名で識別することが出来ません(同じクラスでも中身が異なるため)。
またActivityContextを注入したい場合に困ります。まず間違っても@ActivityScope
で定義してはいけません。それをやると一番最初に生成されたActivityのインスタンスが使いまわされることになってしまいます。ただスコープをつけなくても、Componentが参照しているActivityContextは最初に作成されたActivityのインスタンスとなってしまうので、スコープをつけないだけでも足りません。
このサンプルプロジェクトでは、苦肉の策としてApplicationクラスにActivityModuleのインスタンスも一緒に管理させるようにしています。ActivityModuleがもつContext(Activity)を更新するためです。
しかしそうやったところで、ActivityScopeで使いまわしたい何らかのインスタンスに、ActivityContextを持たせなければならない場合はどうしようもありません。サンプルプロジェクトでは幸いActivityContextに依存するものがないのでなんとかなっていますが、将来的には不明です。
依存性をなくすためのDagger2で、逆に変な依存を産んでしまっているような気がしないでもありません。
ただ、個人的にActivityScopeに持っていたモヤモヤが晴れたことと、Activityクラスごとにシングルトンというのが実現できてよかったと思っています。
ここまで書いておきながら言うのもなんですが、Activityクラスごとにシングルトンにするということは、Application内でシングルトンということと考えて、素直にApplicationScopeで定義したほうがいいのかもしれません。実際このサンプルプロジェクトでも、やっぱりActivityComponentの存在意義があまりないように思います(ApplicationComponentだけあれば事足りるような状態)。
Moduleの肥大化に対しても、役割ごとにモジュールを分けるという方法で対策しているので、ActivityComponent自体をなくしてしまったほうがスッキリするような気もしています。
やっぱりActivityComponentを分ける意義が分かってないです。何かいいことがあるから分けてるんですよね・・・?
英語の記事ですがこちらの記事も参考になるかもしれません。たぶん同じようなことができて、かつスマートな実装なんだと思います。私にはややこしくてよく理解できないので、もうちょっとDagger2の経験値積んでから挑戦しようと思っております。
https://frogermcs.github.io/activities-multibinding-in-dagger-2/